【新刊】本郷地下『シティ・ライツ・バースデイ』レビュー
オメガバースが苦手な人にこそ読んで欲しい!
オメガバースの本作を描くにあたって、作者の本郷地下先生はあとがきで、たぶん私たちの世界と同じで、ふしぎなほどいつも通りの制作作業だったということを書かれています。そのあとがきを見たときにも、不思議と涙が溢れました。筆者も、この作品はオメガバースという特殊な世界観のBLだけれども、とても身近で共感できる物語だと感じました。どんな世界に生きていても、個々は私たちと同じ生身の人間なのかもしれません。オメガバースは苦手という方にこそ読んでほしいオメガバースです。
しんみりとしたレビューになりましたが、事情で服を失くしたまほろがセーラー服や透け透けチャイナドレスなどなどいろんなコスプレ衣装を着ていてエロカワだったり、ポップでえっちなシーンもありますよ!ぜひ、楽しんで読んでくださいね。
《ストーリー》
男女のほかにαとβ、Ωの性別がある世界。αとΩの中でも特に強い結びつきを持つふたりは、「運命の番」と呼ばれています。あるホワイトクリスマスに、βの東馬は、Ωのまほろと出会いました。怪我をしたまほろを手当したお礼にと、まほろが働く風俗店で筆おろししてもらう東馬。まほろはお金を貯めながら、幼少期に出会った“運命のα”を捜していると言います。まほろの役に立ちたいと、東馬は「運命のαを一緒に探します」と提案。受け入れてもらったものの、二人で過ごすうち、東馬のまほろへの想いが膨らんでいきます。そしてまほろも運命を求めながら、東馬へ名前のつけられない感情を持ちはじめるのですが……。
(文/牧島史佳)