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【新刊】九號『羊の皮を着たケモノ』レビュー

嗜虐心を愉しむタイプの作品ではなくて……

主人公が辛くないとは言えないかもしれないですが、おそらく説明や冒頭を読んで多くの方が想像するんじゃないかと思う、嗜虐心を愉しむタイプの作品とは思いませんでした。


ネタバレはしたくないですが、もう少し内容をつかんだ上で読むかどうか判断したい方のために。筆者は不憫受けが好きでとくに萌える方ではないです。もちろん、不憫な子が健気に頑張ってる姿は素直に応援したくなるし、不憫な子が救われると心から良かったねぇと思えます。


ただ、不憫受けよりも不憫攻めに萌えるかもしれないです…。小説で一穂ミチ先生の『おとぎ話のゆくえ』という作品があるのですが、泣けてしまうし、好きなんです。自分の境遇を諦めて開き直って達観しているような不憫攻め、攻めに翻弄されてるように見えて実は器が大きくて心が強いピュア受け、このバランスが絶妙なんです。
『おとぎ話のゆくえ』が好きな方、こういう設定に惹かれる方がいらしたら、この『羊の皮を着たケモノ』もきっと気に入ってもらえるんじゃないかと思います。気になった方はぜひ、読んでみてくださいね!


《あらすじ》
姉が連れてきた恋人の井川(いがわ)に、大学生の弟・大地(だいち)は内心驚愕します。出会って三ヶ月で婚約したというし、井川は一流企業勤めで、金も将来性もある超イケメンなです。外面はいいけど、家ではガサツで我儘な姉と、欠点がなさすぎて逆に胡散臭いほどのこの人がなぜ…!? 初めは違和感が拭えず警戒していた大地ですが、就活や人生相談に乗ってくれる大人な井川に、次第に心を奪われていってしまい……。
(文/牧島史佳)

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牧島史佳

BLに生かされてます!ハピエン好きだけど、作品が良ければメリバも読む(かもしれない)です。