【新刊】五月女えむ『イノセントを穢すキス』[アニメイト限定セット 20P描き下ろし小冊子付]レビュー!
ピュアなだけじゃなく、芯が強い受けがいじらしい!
ただ、シリウスはピュア過ぎて何もわからない能天気な王子様ではないです。そこがいいのです! 妾腹(しょうふく)という立場ということもあると思いますが、人の気持ちがよくわかり、芯が強い頼もしさもあります。オンブラを思うと切なくなる自分の気持ちはなんなのか、これは喜ばしいことなのか、伝えるべきことなのか、そんなことを察してしまうシリウスがいじらしくて泣けてしまいます。繊細な表情も非常に良いです。
そして、オンブラもまた純粋なのです。両親への気持ちを胸に生きてきた男なのですから。彼の気持ちを思うとまたギュッと切なくなります。
展開は王道と言えるかもしれませんが、心情が丁寧で、白けるなんてことなく読み進んでしまいます。微妙な表情も上手く表現されているので、読み手の心をつかんで離さないのだと思います。
読んでいてとても切なくなりました。絵もとても綺麗なので見ごたえがありますよ。シリウスは美人でかわいいし、オンブラは粗野だけどワイルドな魅力があるスカーフェイスでセクシーです。『イノセントを穢すキス』、オススメですよ!
《あらすじ》
粗野な山男・オンブラに助けを求めてきたのは 純朴な妾腹(しょうふく)の王子シリウスでした。シリウスの父にオンブラの両親を村ごと焼き討たれたのが10年前。アイツは親の仇で、仲睦まじかった幼い頃にはもう戻れないとオンブラは内心シリウスを恨んでいます。巡ってきた復讐の機会に、動揺と葛藤が渦巻くオンブラ。ところが、そんな苦悩に気づかないシリウスは、昔のことも思い出さぬまま、オンブラに惹かれはじめてしまうのですが……。
(文/幸山桃子)
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