映画『劇場版 きのう何食べた?』(よしながふみ)レビュー〈3〉
お料理のあとはお待ちかねの食事シーン。テーブルをはさんでシロさんとケンジが向かい合って、作った料理をともに食べます。2人の幸せが伝わってくるお約束の場面ですよね。「〇〇が××で△△ってしてておいしい~~!」というケンジのお決まりの食レポがさらに幸せ気分を盛り上げます。ケンジはおいしいものが好きだけど、シロさんが作ってくれたからこそ格別なんですよね。ケンジの愛もシロさんの愛も感じられて、キュンとなります。
時には楽しいばかりじゃなく胸に思いを秘めている場合もあるけど、時間とお料理を共有して食卓を囲むことって大切なんだなと改めて思わせてくれました。人生の何気ない時間、通常なら描かれないような時間こそ、実はかけがえのないものなんだなぁと胸がじんわりと熱くなります。シロさんとケンジって恋人同士であり“家族”でもあるんですよね。
『何食べ』はシロさんとケンジの恋愛としての愛も描かれているけれど、家族愛も感じられます。劇場版ではさらに彼らの絆が深まります。
お料理に勝るとも劣らず、『何食べ』で描かれる人生模様もライトタッチでありながら深く心に沁みます。生活に根差したお料理と地続きで人生が綴られていきます。
劇場版ではシロさんとケンジ、それぞれの家族という背景がより深く描かれていて、ほろ苦い涙を流して感動しました。ドラマ版ではほのぼのとした雰囲気でしたが、原作も読んでいると、実は少し物足りなさも感じていました。深夜に数十分ほっこりとしたいドラマとしては十二分ではあるのですが、あのエピソードまでは言及しないんだなぁとか、ほのぼのだけじゃないのが『何食べ』のいいところなんだけどなぁなどと思っていたので。こうして劇場版でしっかりと描いてくれるなんて、さすがです!
【まんが王国】★お得感No.1★国内最大級の電子コミックサイト※〈コメント注意事項〉個人を特定する情報、また誹謗中傷や他人に不快感を与える投稿はお控えください。ことわりなく削除する場合があります。